フリーランスや個人事業主の方であれば、「経費」を計上して確定申告を行うのは一般的なことです。経費とは、事業を営む上で必要となって支払ったお金のことを指します。

経費を漏れなく計上する最大のメリットは、納めるべき税金(所得税など)を安く抑えられる点にあります。

税金の計算は、事業で得た「売上」から「経費」を差し引いた「事業所得」をベースに行われます。つまり、事業のために使ったお金を正しく経費として計上すれば、その分だけ事業所得が減り、結果として税金を最小限に抑えることができるのです。支払う税金が減れば、手元に残る利益がそれだけ大きくなります。

実は、フリーランスだけでなく「副業」をしている会社員の方でも、副業のために支払った費用を経費として計上することが可能です。

「副業を始めたばかりで、まだ少ししか収入がない」という方でも、経費を計上せずに売上すべてに税金がかかってしまうと、せっかくの利益が微々たるものになってしまいます。副業であっても適切に経費を差し引くことで、節税対策につながります。

本記事では、副業をする上で発生しやすいさまざまな経費のなかでも、特に分かりにくい「通信費」に焦点を当てて、経費計上のポイントや申請方法を詳しく解説します。

経費計上できる「通信費」とは?

経費として認められる通信費の代表格は、事業で使用する「インターネットの回線料金」や「スマートフォンの電話料金」です。

また、意外と見落としがちなのが、仕事で郵便物を送る際の「宅急便代」や「ハガキ・切手代」です。これらも立派な通信費に含まれます。

専用の事務所を借りているフリーランスの方であれば、そこで発生した通信費は基本的に全額経費として計上できます。しかし、自宅で副業をしている方や、プライベートと仕事を兼ねている環境の場合は、支払った全額を経費にするわけにはいきません。仕事で使用した割合に応じて計算する「家事按分(かじあんぶん)」を行う必要があります。

通信費における「家事按分」の考え方

プライベート用と仕事用が混ざっている通信費を経費にする場合、一般的には「使用時間」や「使用日数」などを基準にして割合(按分割合)を算出します。厳密な1分1秒を測る必要はなく、実態に即したおおまかな比率で問題ありません。

例えば、自宅のインターネット回線を副業でも使っているとします。1日のうち、副業のために平均2時間、プライベート(動画視聴や本業のテレワークなど)で平均8時間使用している場合、利用時間の比率は「2:8」となります。

この場合、仕事で使っている割合は全体の「20%」です。もしその月のインターネット料金がトータルで1万円だった場合、経費として計上できる通信費は以下のようになります。

  • 10,000円 × 20% = 2,000円(経費計上できる金額)

スマートフォンの利用料金(電話代やデータ通信料)についても、同じように使用時間や通話頻度などの実態に基づいて割合を算出し、家事按分を行います。

毎日の使用時間を細かく記録し続ける必要はありませんが、按分の根拠(なぜその割合にしたのか)は説明できるようにしておきましょう。また、毎月の料金明細や領収書などの支払い証明は、必ず証拠書類として保管しておく義務があります。

日々の経費管理はエクセルやGoogleスプレッドシートでも可能ですが、無料から使える会計ソフト「freee(フリー)」などのクラウド会計ソフトを利用すると、家事按分の計算も自動で行ってくれるため非常に便利でミスも減らせます。

経費になる通信費の具体的な内訳

それでは、具体的にどのようなものが通信費として経費計上できるのか、主な内訳を見ていきましょう。

  • 電話の通話料・通信料
  • インターネット使用料
  • 送料・切手代

電話の通話料・通信料

副業の連絡用として使用した固定電話や携帯電話(スマートフォン)の料金は、通信費として計上できます。

また、仕事で利用したFAX料金、電報料金、テレホンカード代などもここに含まれます。

インターネット使用料

光回線などの通信回線業者に支払う料金や、プロバイダ利用料が該当します。

さらに、副業でブログやウェブサイトを運営している場合、ドメイン取得・更新費用やレンタルサーバー代も「通信費」として処理するのが一般的です。

ほかにも、仕事のデータを保管するためのクラウドストレージ代(Google Drive、Dropboxなど)や、業務で必須となる有料のクラウドツールの利用料も、通信費として計上できるケースがあります。

送料・切手代

取引先やお客様へ書類や商品を発送する際にかかる送料も、通信費になります。宅急便の料金はもちろん、郵便の速達、書留、特定記録などの配達オプション費用もすべて経費対象です。

また、仕事関係の相手に送る年賀状や挨拶状、ハガキ代や切手代も通信費として計上可能です。

ただし、切手やレターパックなどは「購入した時点」ではなく「使用した時点」で経費になるのが原則です。期末(年末)時点で未使用のまま残っている切手は「貯蔵品」として扱い、その年の経費からは除外する必要がありますので注意しましょう。

経費計上する際の帳簿への申請(記帳)方法

経費を計上するためには、支払った日付、内容、金額などを帳簿に正しく記載(記帳)する必要があります。

帳簿には「摘要欄(てきようらん)」という項目があり、ここには取引の具体的な内容をメモとして分かりやすく記載します。通信費の摘要欄の書き方としては、以下のような例が挙げられます。

  • 電話代:〇〇月分 固定電話料金(NTT等)
  • 携帯電話代:〇〇月分 スマートフォン利用料(ドコモ・au・ソフトバンク等)
  • インターネット代:〇〇月分 光回線・プロバイダ料金、Wi-Fiルーター代
  • 郵便送料:〇〇様宛 書類郵送代、宅急便運賃(ヤマト運輸・佐川急便等)
  • 切手代:84円切手10枚購入(※未使用分は期末に「貯蔵品」へ振替)

法的な決まりはありませんが、固定電話と携帯電話、インターネット代などは摘要でしっかり分けて記載しておくと、後から「何にいくら使っているか」を把握しやすくなり、無駄な支出の見直しにも役立ちます。

【仕訳の例】

事業用の銀行口座から、インターネット代11,000円(税抜10,000円、消費税1,000円)が引き落とされた場合(※税抜経理方式の場合)

借方貸方
通信費:10,000円普通預金:11,000円
仮払消費税:1,000円

通信費(スマホ代)の経費計算を圧倒的にラクにする方法

フリーランスや副業をしている方にとって、通信費のなかでも特に携帯電話代をわかりやすくする方法をご紹介します。

プライベートと仕事で同じスマホを兼用していると、毎月「何割が仕事用か」を説明できるように家事按分しなければならず、手間がかかります。

そこでおすすめなのが、「仕事専用のスマホをプライベート用とは別に契約する(2台持ちする)」という方法です。

仕事専用のスマホであれば、プライベートの利用が混ざらないため、毎月のスマホ代を家事按分することなく「100%全額」を経費として計上できます。

わざわざ使用時間から計算しなくて良いので楽ちんです。

2台目の仕事用スマホには「格安SIM」が最適!

「仕事用にもう1台スマホを持つと、月々の固定費が高くなってしまうのでは?」と心配になるかもしれません。

そこでおすすめしたいのが、2台目の仕事用スマホに「格安SIM(シム)」を利用することです。

格安SIM(シム)って何?

格安SIMとは、大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)の通信回線を借りてサービスを提供している通信事業者のことです。自社で大規模なアンテナや設備を維持するコストがかからないため、大手キャリアよりも格段に安い料金でスマートフォンを利用できます。

携帯料金の平均月額料金
大手携帯キャリア約8,000円
格安SIM約4,000円

※通信量20GB以上の場合

プランや会社によって異なりますが、大手キャリアの半額からそれ以下に通信費を抑えられるケースがほとんどです。電話と少しのデータ通信ができれば十分という副業用であれば、月額1,000円前後で維持できるプランも多数あります。

プライベート用スマホとは別に仕事用スマホを持つのであれば、経費を圧迫しない格安SIMを選ぶのが最も賢い選択と言えるでしょう。

格安SIMの詳しい選び方は、下記の記事で解説しています。

プライベート用スマホ1台では損してる?仕事用スマホを持つべき3つの理由

【まとめ】副業でも通信費を経費にして賢く節税しよう!

本記事のポイントを振り返りましょう。

  • フリーランスだけでなく、副業をしている方でも仕事に使った費用は「経費」にできる。
  • 経費を正しく計上することで、事業所得が減り、支払う所得税を抑える(節税)ことができる。
  • 「通信費」には、スマホ代、ネット回線代、サーバー代、切手・送料などが含まれる。
  • プライベートと兼用している通信費は、使用割合に応じて「家事按分」をして計算する。
  • 仕事専用のスマホ(2台目)を持てば、家事按分不要で全額経費にできて非常にラク。
  • 2台目の維持費を抑えるなら、月額料金が安い「格安SIM」の活用がおすすめ。

副業で得た大切な収入を守るためにも、経費にできるものは漏れなく計上することが大切です。特に通信費は毎月必ず発生する固定費になりやすいため、専用スマホや格安SIMを上手く活用して、手間なく賢い税金対策を実践してみてください。