近年、国内の大手通信キャリアにおいて、数時間から数日間にわたる大規模な通信障害が毎年のように発生しています。プライベートでの通信障害であれば「SNSが見られない」「動画が見られない」といった不便さで済みますが、ビジネス用の仕事用スマホであればそうはいきません。

「クライアントからの緊急の電話が受け取れない」「外出先で仕事のチャットツールが開けず、業務連絡が完全にストップしてしまった」という事態は、取引先や顧客からの信頼を失い、最悪の場合は大きな金銭的損害に直結します。仕事用スマホにおいて、通信が「繋がらない時間」をゼロにすることは、もはや現代のビジネスパーソンにとって必須の危機管理(BCP対策)と言えます。

この記事では、スマホ1台に異なる2つの回線を登録する「デュアルSIM」機能を活用し、最も安定性が高い「ドコモ回線+au回線」の組み合わせを格安で構築する具体的な手法について解説します。この記事を読めば、万が一の通信障害時にも慌てず即座にネット環境を復旧させ、ビジネスの生命線を守り抜く知識が身につきます。

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仕事用スマホで通信障害対策が絶対に欠かせない理由

スマートフォンはビジネスに欠かせないインフラですが、その回線が1つだけであることの危険性を認識している人はまだ多くありません。まずは通信障害の現実的なリスクを理解しましょう。

大手キャリアの大規模通信障害とビジネスへの致命的な影響

どれほど知名度が高く、回線品質に定評のある大手通信キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)であっても、システムのバグや予期せぬ自然災害などによって通信障害が発生するリスクは常にあります。

実際、これまでに発生した通信障害では、音声通話が発着信できなくなるだけでなく、モバイルデータ通信も完全に遮断され、多くのビジネスマンが外出先で身動きが取れなくなりました。メールの送信、クラウド上のスケジュール確認、決済アプリの利用などがすべて不可能になり、オフィス外での業務が完全にストップしてしまったのです。単一の回線に依存している状況は、ビジネスにおいて非常に高いリスクを内包していると言えます。

通信が途絶えた場合の顧客からの信頼損失と損害リスク

取引先や顧客の立場からすれば、あなたの側の通信回線が死んでいることは分かりません。「電話をかけても繋がらない」「メールを送っても返信がない」という状態が続けば、相手は不安や不信感を抱くことになります。

特に、締め切り直前の緊急連絡や、重要な案件のトラブル対応中などに連絡が途絶えてしまうと、ビジネス上の契約解除やクレームに直結する危険性があります。また、通信ができないために商機(見積もり依頼など)を逃してしまえば、売上に対する直接的な損失となります。仕事の品質や実力に関わらず、「連絡が取れない人」というレッテルを貼られないためにも、予備の回線を備えておくことは最低限のビジネスマナーとなりつつあります。仕事用SIMの選び方で後悔しないためのポイントは、格安SIMのデメリットは?仕事用スマホで後悔しない選び方でも詳しく紹介しています。

通信障害を完全に回避する「デュアルSIM(ドコモ+au)」の仕組み

通信障害から仕事用スマホを守る最も確実なアプローチが、1台のスマートフォンで異なる2つの通信回線を同時に待ち受け状態にする「デュアルSIM」の設定です。

スマホ1台に2つの異なる回線を共存させるデュアルSIMの基本

デュアルSIMとは、スマートフォンに2枚のSIMカード(または物理SIMとeSIMの組み合わせ)を登録し、同時に2つの電話番号やモバイルデータ通信を扱えるようにする機能です。

これにより、スマホ画面のアンテナ表示が2つ並び、メイン回線が通信障害で完全に圏外になったとしても、もう一方のサブ回線(副回線)へとデータ通信の設定を切り替えることで、数秒でインターネット通信を復旧させることができます。わざわざスマホを2台持って歩く必要がないため、ポケットやかばんをスッキリさせたまま、最強の危機管理体制を整えられるのが最大の強みです。2台持ちとの違いやメリットの比較については、仕事用スマホを2台持ちするメリット・デメリットを参考にしてください。

ドコモ回線とau回線を組み合わせるべき理由とカバーエリアの強み

デュアルSIMを構成する際、最も重要なのは「異なる通信網(キャリア)を組み合わせる」ことです。同じドコモ網のSIMを2枚持っても、ドコモ自体が障害を起こせば共倒れしてしまいます。

そこで推奨されるのが、「ドコモ回線+au回線」の組み合わせです。この2大キャリアは、日本の山間部や地方都市、さらには地下街にいたるまで、それぞれ非常に広いカバーエリアを誇っています。ドコモが繋がりにくい場所ではauが繋がり、逆にauの電波が弱い場所ではドコモが補完し合うという相互補完の関係が成立するため、通信の死角をほぼ完全に排除することができます。災害時などの通信規制が発生した際にも、どちらかの通信網が生きている可能性が極めて高く、BCP対策として最善の組み合わせです。

「ドコモ回線+au回線」を構築する具体的な通信キャリアの組み合わせ

この「ドコモ+au」のデュアルSIMを、毎月のランニングコストを抑えながら格安で構築するための具体的なキャリア選定とプラン構成を提案します。

メイン回線をドコモ系格安SIM(LIBMOなど)にする強み

日頃の仕事用通信を支えるメイン回線には、ドコモの安定した電波が使えて基本料金が非常に安い格安SIMの「LIBMO(リブモ)」が最適です。

LIBMOは、音声通話付きプランや大容量データプランを非常にリーズナブルに提供しているため、メインの通信費を大きくスリム化できます。通信の混雑具合や実測値についての評価は、LIBMOは通信速度が遅いって本当?平日お昼の混雑時の実測値と速度制限のリアルに詳しくまとめられていますが、普段のビジネスチャットやブラウジングであれば何ら問題のない品質を備えています。

サブのバックアップ回線としてau系の回線を賢く選ぶ方法

そして、バックアップ用のサブ回線として、auの通信網を利用できる「povo(ポヴォ)2.0」を組み合わせます。

povo2.0は、基本料金が「0円」で維持できる非常に特殊なオンライン専用ブランドです。データ通信を使いたい時にだけ、その場でアプリからトッピング(24時間使い放題や数GBの小容量トッピングなど)を購入して通信を行う仕様となっています。

つまり、普段(通信障害が起きていない時)は基本料金0円のまま寝かせておき、万が一メインのLIBMO回線(ドコモ網)で障害が発生した時や、山間部でドコモの電波が届かない時だけ、povoのデータトッピングを数百円で購入してau回線でネットを再開する、という無駄のない運用が可能です。

デュアルSIM対応スマートフォンの選び方と契約時の注意点

デュアルSIMを設定するためには、手元にあるスマートフォンがこの機能に対応しているか、また正しい組み合わせでSIMが契約されているかを確認する必要があります。

eSIMと物理SIMを組み合わせた最適な契約方法

多くのスマートフォン(特にiPhoneや最近のAndroid端末)は、「物理SIMカード1枚 + eSIM(内蔵型)1枚」という構成でデュアルSIMを実現しています。

例えば、メインのLIBMOを従来の「物理SIMカード」で契約してスマホに挿入し、サブのpovo(または楽天モバイル等)を「eSIM」で契約してインターネット経由でダウンロード登録します。

契約の際に両方を物理SIMにしてしまうと、端末側にスロットが1つしかない場合に同時利用ができなくなってしまいます。申し込み前に、ご自身のスマートフォンが「物理SIM+eSIM」の構成に対応しているかを確認し、適切なSIMタイプを選択して契約を進めてください。

SIMロック解除の確認とデュアルSIM対応端末の確認手順

ドコモやauなどのキャリアで購入した少し古めのスマートフォンを使用している場合、他のキャリアのSIMカードを受け付けない「SIMロック」がかかっている場合があります。

SIMロックがかかったままでは、ドコモのLIBMOとauのpovoを同時に動作させることができません。必ず事前に購入元のキャリアのマイページ等から、無料でできる「SIMロック解除」の手続きを行ってください(2021年10月以降に発売された端末は原則としてSIMロックがかかっていません)。

また、手持ちのiPhoneがデュアルSIM対応であるかも確認しておきましょう。iPhoneであれば、iPhone XS/XR以降の機種であればすべてのモデルでデュアルSIM機能が標準搭載されています。

通信障害が発生した際のスマホでの回線切り替え手順

万が一、メイン回線で通信障害が発生し、ネットが繋がらなくなったりアンテナマークが圏外になったりした際の、スマートフォン上での具体的な回線切り替え操作について解説します。

iPhone(iOS)でのモバイルデータ通信切り替え手順

iPhoneでデータ通信の接続先を切り替える手順は非常にシンプルです。

  1. 設定アプリを開き、「モバイル通信」をタップします。
  2. 「モバイルデータ通信」の項目をタップします。
  3. 現在「主回線(メイン回線)」にチェックが入っているところを、サブとして登録している回線(例:povoなど)をタップしてチェックを切り替えます。

操作はこれだけです。数秒待つと、画面上部のアンテナマークがサブ回線側に切り替わり、インターネット通信が再開されます。障害発生時にパニックにならず、この画面の場所を頭に入れておきましょう。

Androidでの優先データ回線の即時切り替え設定

Androidスマートフォン(PixelやGalaxyなど)でも、同様の手順で即座にデータ通信の優先回線を変更できます。

  1. 設定アプリから「ネットワークとインターネット」または「接続」を開きます。
  2. 「SIMカード」または「モバイルネットワーク」の設定に進みます。
  3. 「データ通信」または「優先データSIM」の項目を選択し、接続先を切り替えたいサブのSIMに変更します。

Android機種によっては、通知バー(クイック設定パネル)を上からスワイプして引き下げ、そこからワンタップでデータ回線を切り替えられるショートカットが用意されている場合もあります。日頃から一度切り替えテストを行い、正しく動作するか確認しておくことが最強の備えになります。

楽天モバイルと他社回線を組み合わせたデュアルSIMの可能性

ドコモ+au以外の強力なデュアルSIM構成として、自社回線を持つ「楽天モバイル」を組み合わせる選択肢も非常に有力です。

楽天モバイルを併用して通話料と大容量通信を両立させる構成

メイン回線またはサブ回線として「楽天モバイル」をデュアルSIMの片側に組み込むことで、通信障害対策以上の多くの実用的なメリットが得られます。

楽天モバイルは月額1,078円からの段階制プランですが、前述の通り「Rakuten Link」アプリを使用すれば国内通話が完全無料でかけ放題になります。これをビジネス用の通話窓口に設定しつつ、もう一方の回線(ドコモ系のLIBMOなど)をデータ通信のバックアップとして維持する構成は、通話料をタダにしながら電波の繋がりやすさも担保できる非常に欲張りで賢い構成です。この具体的な設定方法については、楽天モバイルとpovoのデュアルSIM最強説!併用のメリットと設定方法で詳しく仕組みを解説しています。

通信障害対策としての楽天モバイルの回線実力とメリット

楽天モバイルは、独自の楽天回線エリアだけでなく、パートナー回線として「auの電波(一部ローミング)」も使用してエリアをカバーしています。

そのため、楽天モバイル単体であっても実質的に2つの通信網を内包しているような強みがあり、プラチナバンドの整備と相まって、年々電波の繋がりやすさは向上しています。楽天の現在のエリアの実力やプラチナバンドへの取り組みは、楽天モバイルのエリアとプラチナバンドの現在地!田舎や地下でも繋がる?に詳しくまとめられており、仕事用の予備回線あるいはメイン回線としての実用性を判断する上で貴重なデータとなります。

まとめ

仕事用スマホにおける通信障害対策は、ビジネスの継続性と顧客からの信頼を守るために絶対に無視できない重要課題です。

「ドコモ+au」のデュアルSIM構成は、日本で最も電波が繋がりやすい2大通信網を1台のスマホに備えることができるため、仕事用として最も信頼性の高いBCP対策となります。

メイン回線を格安なドコモ系のLIBMO、サブ回線を基本料金0円のau系povoにすることで、余計な月額コストを増やすことなく、障害発生時に即座に切り替え可能なバックアップ体制が完成します。また、通話無料のメリットを最大化したいのであれば、楽天モバイルを組み合わせる構成も非常に魅力的です。ぜひこの機会にご自身のスマホ環境を見直し、どのような障害にも揺るがない強固な連絡網を構築してください。

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