「楽天モバイルは料金が安くてデータ無制限なのは魅力的だけど、建物の中や地下に行くと電波が圏外になるから仕事用としては使えない」。数年前まで、これが楽天モバイルに対する一般的な評価でした。仕事の連絡が途切れることはビジネスパーソンにとって死活問題であるため、通信品質への不安から乗り換えを躊躇していた方も多いはずです。

しかし、そんな楽天モバイルの弱点を根本から覆す切り札として登場したのが「プラチナバンド」の導入です。障害物を回り込んで電波を届ける特性を持つこのプラチナバンドの運用開始により、楽天モバイルの繋がりやすさは劇的な進化を遂げつつあります。この記事では、楽天モバイルのプラチナバンドがいつから始まり、現在どこまでエリアが広がっているのか、そして屋内で電波が悪いと感じた際の具体的な改善策について、詳しく解説していきます。

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プラチナバンドとは?楽天モバイルにとっての重要性

スマートフォンがインターネットに繋がるための「電波」には、目に見えない様々な周波数帯(バンド)が使われています。その中でも、楽天モバイルがこれまで持っていなかった特別な周波数帯が「プラチナバンド」と呼ばれるものです。なぜプラチナバンドがこれほどまでに重要視されているのか、その理由を紐解いていきましょう。

障害物を回り込む「プラチナバンド」の特性

プラチナバンドとは、主に700MHz〜900MHz帯の低い周波数帯の電波を指します。一般的なスマートフォンの電波(楽天モバイルが初期に割り当てられていた1.7GHz帯など)は直進性が強く、大容量のデータを高速で運ぶのには適していますが、ビル群や分厚いコンクリートの壁にぶつかると電波が遮断されてしまうという弱点を持っています。

プラチナバンド(700〜900MHz帯)の強み
  • 電波が障害物を「回り込んで」進むことができる
  • 窓のない地下室や、高層ビルの奥まった部屋まで電波が届きやすい
  • 1つの基地局から遠くまで電波を飛ばすことができるため、山間部などのカバーに強い

大手3キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)は、はるか昔からこのプラチナバンドを国から割り当てられて運用してきました。そのため、「どこにいてもスマホが繋がるのは当たり前」という高品質なネットワークを維持できていたのです。楽天モバイルは後発キャリアであったため長らくプラチナバンドを持たず、これが「屋内や地下で圏外になりやすい」という最大のデメリットを生んでいました。

悲願のプラチナバンド獲得がもたらすビジネスへの恩恵

仕事用のスマートフォンとして楽天モバイルを検討しているフリーランスや個人事業主にとって、プラチナバンドの獲得は非常に大きな意味を持ちます。例えば、取引先のオフィスビルでの商談中、奥まった会議室に入った途端に電波が途絶え、クラウド上の資料が開けなくなるといったトラブルは絶対に避けなければなりません。

プラチナバンドが普及すれば、これまで楽天モバイルが苦手としていた「地下鉄での移動中」「奥まったカフェでのリモートワーク」「高層階での打ち合わせ」といったビジネスシーンにおいても、安定して通信ができるようになります。月額3,278円(税込)でデータ無制限という圧倒的なコストパフォーマンスを、場所を選ばずに享受できるようになるため、仕事の生産性向上と通信費の大幅削減という両立が可能になります。

楽天モバイルのプラチナバンドはいつから始まっている?

「楽天モバイルにプラチナバンドが導入される」というニュース自体は耳にしたことがあっても、「実際に自分のスマホがその恩恵を受けられるのはいつからなのか?」と疑問に思っている方は多いでしょう。ここでは、実際の運用開始時期と、現在の普及状況について解説します。

2024年6月からの「商用サービス開始」の現在地

楽天モバイルは、総務省から念願のプラチナバンド(700MHz帯、Band 28)の割り当てを受けた後、基地局の準備を進め、2024年6月末に正式に「商用サービスの運用開始」を発表しました。つまり、制度上やテスト段階ではなく、すでに私たちが普段使っているスマートフォンに対してプラチナバンドの電波が飛び始めているということです。

ただし、ここで注意しなければならないのは、「運用開始=全国どこでもすぐにプラチナバンドに繋がる」というわけではないという点です。基地局のアンテナ設置やソフトウェアのアップデートは全国で順次行われていくため、エリアを一気に拡大するには物理的な時間がかかります。

現在は、都市部のトラフィック(通信量)が集中しやすく、かつ従来の電波ではカバーしきれなかった「ビル群の谷間」や「主要駅周辺の繁華街」などを優先して、ピンポイントでの整備が進められています。地方都市や住宅街の隅々までプラチナバンドが届くようになるには、今後数年単位での持続的な基地局整備を待つ必要があります。

auローミングとの併用による「仮想プラチナバンド」の活用

自社回線のプラチナバンド整備が完了するまでの間、楽天モバイルが「屋内や地下で繋がらない」状態を放置しているわけではありません。実は、自社の電波が届きにくいエリアでは、パートナーである「au(KDDI)」のプラチナバンド回線(ローミング回線)を借りて通信を行う仕組みが導入されています。

回線の種類データ通信量特徴
楽天回線(自社)無制限(上限なし)メイン回線。高速通信が可能だが屋内にやや弱い。順次プラチナバンド化進行中。
auローミング回線無制限(※一部制限あり)楽天の電波が届かない場所で自動的に切り替わる。auのプラチナバンドを利用するため繋がりやすい。

以前は、このauローミング回線での通信は「月間5GBまで」という厳しい制限がありましたが、2023年6月にスタートした「最強プラン」への移行に伴い、au回線での通信も原則として「無制限」で利用できるようになりました。これにより、自社プラチナバンドの整備が完了していないエリアであっても、auの高品質な電波を利用することで「圏外」のストレスは過去に比べて劇的に減少しています。

自宅や職場の対応エリア(プラチナバンド)を確認する方法

いざ楽天モバイルをメイン回線として契約しようと考えた時、「自分が住んでいる自宅」や「よく仕事をするコワーキングスペース」がしっかりとプラチナバンド(またはauローミング)でカバーされているかを確認しておくことは非常に重要です。

楽天モバイル公式サイトのエリアマップを活用する

最も確実で簡単な方法は、楽天モバイルの公式サイトに用意されている「通信エリアマップ」を確認することです。このマップでは、楽天回線(自社回線)とパートナー回線(auローミング)の提供エリアが色分けされて表示されています。

エリア確認のチェックポイント
  • 自宅や職場の住所を入力し、どの色のエリア(楽天回線エリアか、パートナー回線エリアか)に入っているか確認する。
  • 「5Gエリア」と「4Gエリア」の切り替えタブを活用し、自宅周辺の今後の拡大予定もチェックしておく。

ただし、エリアマップで「楽天回線エリア」と表示されていても、それはあくまで「屋外の平面的な電波状況」を示したものです。前述の通り、ビルの中や地下、分厚いコンクリートの壁に囲まれた自室などでは電波が弱くなる可能性があります。マップの表示はあくまで目安として捉え、実際に自分の生活圏で繋がるかどうかを確かめる必要があります。

デュアルSIMや事前のお試し契約で実測する

仕事で絶対に通信を途絶えさせたくないビジネスパーソンにとって、エリアマップの確認だけでは不十分です。そこでおすすめなのが、「手持ちのスマートフォンにデュアルSIMとして楽天モバイルを追加し、1ヶ月だけ実環境でテストしてみる」という方法です。

楽天モバイルは初期費用(事務手数料)が0円、最低利用期間の縛りや解約金も一切ありません。さらに、使わなかった月(3GB未満)は月額1,078円(税込)で収まります。

現在使っているドコモやauなどのメイン回線はそのまま残し、サブ回線(eSIMなど)として楽天モバイルを契約します。そして、自宅の仕事部屋やよく行くカフェで「楽天モバイルの通信速度」や「電話の繋がりやすさ」を実際に数日間テストしてみるのです。この実環境テストで十分な速度が出ていれば、安心してメイン回線を乗り換えることができます。もし電波が悪ければ、そのまま楽天モバイルを解約すれば数百円〜千円程度の出費で済み、リスクを最小限に抑えられます。

プラチナバンド非対応エリアで繋がりやすさを改善する3つの対策

プラチナバンドの整備が進んでいるとはいえ、建物の構造や立地によってはどうしても「自宅の仕事部屋だけ電波が弱い」「通話が途切れがちになる」というケースに遭遇することがあります。ここでは、そうした場合に試すべき3つの具体的な改善策をご紹介します。

1. Rakuten Casa(小型基地局)を自宅に無料設置する

もし、自宅の電波状況だけが極端に悪く、かつ自宅に光回線(固定のインターネット回線)を引いているのであれば、「Rakuten Casa(楽天カーサ)」の導入が最も効果的な解決策です。Rakuten Casaとは、自宅のルーターに繋ぐだけで、部屋の中に楽天モバイル専用の「小さな基地局」を作り出すことができる機器のことです。

  • メリット:窓際でしか入らなかった電波が、部屋の奥までバリバリ入るようになる。通話品質も劇的に向上する。
  • 導入コスト:本体代金やレンタル料は「実質無料(初期費用分がポイント還元される等)」で提供されることが多い。

仕事で長時間のオンライン会議を行ったり、Rakuten Linkアプリで頻繁にクライアントと長電話をする方にとって、自宅の電波安定は必須です。光回線の契約があることが条件となりますが、自宅の圏外対策としては最強のツールと言えます。

2. Wi-Fi通話(Rakuten Linkの仕様)を活用する

楽天モバイルの大きな魅力である、国内通話無料の「Rakuten Link」アプリ。実はこのアプリ、楽天のモバイルネットワーク(LTE回線)の電波が弱くても、自宅やカフェの「Wi-Fi」に接続されていれば、そのWi-Fi経由で高音質な電話の発着信を行うことができます。

通常のスマートフォン標準アプリでの電話は、携帯電話のアンテナ(電波)が立っていないと使えません。しかしRakuten Linkはインターネット回線を利用するIP電話の仕組みを採用しているため、Wi-Fiさえあれば地下でも通話が可能です。

もし取引先のオフィスビルなど「楽天の電波は圏外になるが、訪問客用のゲストWi-Fiは飛んでいる」といった環境であれば、そのWi-Fiに接続するだけで、いつものようにクライアントからの電話を受け取ることができます。

3. 機内モードのオン・オフで電波を掴み直す

「普段は繋がるはずの場所なのに、なぜか今日は極端に通信が遅い」「アンテナの表示がおかしい」という場合は、スマートフォン本体の電波の掴み方にエラーが起きている可能性があります。特に、移動中に自社回線とauローミング回線の境目を行き来した際などに起こりがちです。

最も簡単で即効性のある対処法は、スマートフォンの「機内モード」を一度オンにし、数秒待ってから再びオフにすることです。これにより、スマートフォンが周囲の電波(基地局)をもう一度探しに行き、より強くて最適な電波を掴み直してくれます。地下鉄から地上に出た際などにも有効なテクニックですので、通信が遅いと感じたらまず試してみてください。

まとめ:プラチナバンド獲得で楽天モバイルはメイン回線に昇格したか

長らく「安かろう悪かろう」「サブ回線用」というレッテルを貼られがちだった楽天モバイルですが、念願のプラチナバンド運用開始と、無制限のauローミングの併用により、その通信品質は「ビジネス用のメイン回線として十分戦えるレベル」にまで急成長を遂げています。

もちろん、ドコモやauが数十年かけて築き上げた全国津々浦々のプラチナバンド網に一朝一夕で追いつくことは不可能です。山間部のキャンプ場や、極端な地下空間などでは、まだ弱さを感じる場面もあるでしょう。しかし、都市部でのオフィスワークやカフェでのリモートワークを中心とする一般的なビジネスパーソンであれば、月額3,278円で通話無料・データ無制限の恩恵を受けられるメリットの方がはるかに上回ります。

まずは初期費用の安い楽天モバイルをサブ回線として試し、ご自身の生活圏での繋がりやすさを体感してみてください。プラチナバンドの恩恵を感じられれば、それは毎月の通信費を大幅に削減できる大きなチャンスとなるはずです。

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